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お金は土建業者とそこで雇われた労働者の手に、所得として入るだけで、いわば彼らに減税をしたのと同じである。 決してお金そのものが、橋に化けるわけではないのである。
もし、公共事業を行わなければ、そこで雇われていた労働者は失業者となり、彼らの持っている労働力が使われずにまったくの無駄になってしまう。 したがって、本来考えるべきことは、お金の倹約ではなく、余っている労働者や建設機械をどう有効利用するかなのである。
ていたのを、強引に公共事業で雇ってしまったというのであれば、公共事業は無駄である。 お金が使われてしまうから無駄なのではなく、労働者や建設機械が無駄な使われ方をされるから無駄なのである。
しかも、〈供給側の経済学〉が前提としているように、完全雇用が成立していれば、お金を基準にした行動と、物を基準とした行動とは矛盾しない。 10億円のお金が使われれば、実際に10億円分の価値を持つ労働力が使われるからである。
そのため、お金を倹約すれば、そのまま資源を倹約したことになる。 ところが、〈需要側の経済学〉が考えているように失業が存在し、公共事業が失業者を使って行われているならば、お金を基準にした行動と物を基準にした行動とに、乖離が現れる。
お金を基準にすれば、その人たちに払う人件費がコストとしてかかることになるが、本来考えるべき資源の有効利用という物の側面から見れば、無駄になっていた資源を公共事業に有効利用しただけであるから、社会的には何も犠牲にしてはいず、実質的にコストにはなっていない。 たとえば、公共事業でできる橋が、人件費を除いたコンクリートや鉄骨の原価分を超えた経済的価値を持つかぎり、ただ失業者を遊ばせて何も作らないよりも意味がある。
公共事業は、多くの場合失業対策として行われる。 実際、バブル以降に公共事業を増やしたことによって、91年から97年までの間に、製造業では雇用が百八万人も減少しているのに、建設業の雇用は八一万人も増えている。
この人たちは忙しくてしょうがないのに、つまらない公共事業に無理矢理かり出されているというわけではないのである。 今後公共事業が削減されれば、1998年以降三年間に、建設業から70万人もの失業者が生み出されるという試算まである(98年5月三日付け「日本経済新聞」)。

景気のよい悪いにかかわらず、民間にとってはお金から見た効率計算が重要である。

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